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2017年1月 3日 (火)

沢木耕太郎による「藤圭子論」

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2013年、ノンフィクション作家沢木耕太郎氏による藤圭子死後に刊行されたものです。

丁度娘である宇多田ヒカルが19歳で結婚、4年後の離婚、28歳での音楽活動の休止とまるで母である藤圭子とパラレルな生活です。母の死について「私の幼いころから精神の病に苦しめられ・・。/母の娘であることを誇りに思います。彼女に出会えたことに感謝の気持ちでいっぱいです。・・ありがとうございました」と語っています。
元夫の宇多田照實氏の「精神を病み、永年奇矯な行動を繰り返したあげくの投身自殺」というコメントで藤圭子の「謎の死」が落着することになった。
しかし沢木氏は違和を当然感じて言ってます。アメリカでの生活は知らないがと前置きして、「私の知ってる彼女が、それ以前のすべてを切り捨てられ、あまりにも簡単に理解されていくのを見るのは忍びなかった。元夫の一行で片付けられない、輝くような精神の持ち主が存在していた」と。そこで三十年後に担当者も変わった出版社に読んでもらい「三十年以上経つというのに、内容も、方法も古びていません。新鮮です」。また宇多田ヒカルと同年齢に近い女性社員に「これを宇多田ヒカルさんに読ませてあげたいと思いました」と。ここでの沢木氏の「謎の死」という視点は凄く冴えています。

沢木氏は語る「二十八歳のときの藤圭子がどのように考え、どのように決断したのか。もそこの『流星ひとつ』を読むことがあったら、宇多田ヒカルは初めての藤圭子に出会うことができるのかもしれない・・・」と。
以上、当然私の主観も入っていますが引用部分は確かなはずです。それとこの500枚におよぶ「インタヴュー」の個々のことは出来るだけご自身で読んで欲しいです。話し言葉での半生です。言葉の受け止め方、話し方に多少のズレは当然ありますから。

個人的に一つ印象深いのは喉のポリープの手術の話しです。あの藤圭子独特のカスレ声を休めば元に戻るのに手術して、声の質が変わり、当然歌声にも反映してしまって・・・。という辛い話です。藤圭子自身の「心に引っかかる歌い方が出来なくなってしまった。自分の心に引っかからないのにどうして他人=聴衆の心に引っかかる」。「そんな声で昔納得して歌っていた歌を歌うのは辛さ以外の何物でもない」という、歌手生活の屈折点のことでした。

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★意図しなくても「言葉で正直に話しても人間の語る自身には、絶対に見えないものがある」とは私の持論です。当然私が話してもです。ただ、この「インタビュー」からはエピソードの断片の継ぎ合わせや、問いにたいする「・・・・」という形での沈黙等々から「誠実さ」は充分に感じられました。〜書けばこれだけですが、どんなご意見でも聞く耳は持っていますので・・。

★自身の声を無くして、25歳以降大スターだった藤圭子も地方のクラブなどで歌うことも多かったと語っています。「新宿ACB」が大好きだったとか(これは若くて売れる前の話し)。フォー・リーブスのメンバーとダンスのクラブで踊り明かしたりしたことも。ただ当然28歳で「引退コンサート」も控えているころの「インタビュー」です。スターという夢を売る部分を壊しきってはいないと感じます。

★この「流星ひとつ」も「インタビュー」形式で31歳の著者が目指した一つの方法です。「一瞬の夏」に見られる著者のスポーツをノンフィクション文学で読ませる力量はみんな認めるところです。「ノンフィクション」=事実を文学すると考えれば、この本は著者が採用した一つの方法であり、あくまで「例え」ですが、「最後の火酒」は九杯目です。一杯が一度の「第一回目のインタヴュー」で全てのインタヴューが九回かかって行なわれても「ノンフィクション文学」としての一冊がこのような姿を採ることに何の違和も覚えない。事実をより主観的に伝える「ノンフィクション文学」ですから。

前のブログに書いたものですが、AMAZONのレビューに書いたものに少し書き足したものです。沢木氏のノンフィクションは大好きです。一応詩と「音楽論」を書いている人間ですので最近知り合った方にも読んで欲しくて書き直しました。

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コメント

新しいブログを作って初めてのコメントを自身で書いてます。
隣室では先程録画が終わったJAZZギターの渡辺香津美氏の45周年のLIVEがかかっています。第二部ですがゲストが凄いのです。村治佳織さん、沖仁、押尾コータロー、SUGIZOUなどなど。JAZZのジャンルにこだわることのない名演奏が2時間です。「藤圭子論」を読んでこれは「ブログに書かねばと思いました。今後もLIVEのレポにはブログを活用します。

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